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第17話 4月16日 距離が教えてくれた「本当の想い」

Author: ちばぢぃ
last update Last Updated: 2025-12-09 11:00:11

俺は昨日と同じ時間に起きて、机に向かった。

颯音はまだ寝ている。

布団は二つ離れたまま。

俺はノートを開いて、昨日の続きを始めた。

でも、今日は昨日と違った。

集中できない。

鉛筆を持つ手が止まる。

耳に入ってくるのは、颯音の小さな寝息だけ。

いつもならその寝息に合わせて俺の心臓も落ち着くのに、

今は胸がざわざわして、問題が頭に入ってこない。

6時になった所で

颯音が目を覚まして、布団から顔を出した。

颯音「……蓮、おはよう」

声が少し掠れている。

俺はすぐに顔を背けた。

蓮「……おはよう」

颯音が立ち上がって、俺の背後に立った。

肩に手を置こうとしたけど、途中で止めた。

颯音「……ご飯、できてるよ」

蓮「……うん、後で行く」

颯音は黙って部屋を出て行った。

朝ごはんの席。

おばあちゃんが不思議そうに俺たちを見ている。

おばあちゃん「二人とも、どうしたの? 昨日から様子が変だよ」

蓮「……なんでもないです」

颯音「……うん」

二人して目を合わせない。

おばあちゃんはため息をついて、それ以上は何も言わなかった。

学校へ向かう道。

いつもなら肩が触れ合う距離なのに、今日は一メートルくらい離れて歩く。

颯音は俯いたまま、俺の半歩後ろ。

風が吹いても、手を繋ぐこともない。

教室に着くと、俺はすぐに席について参考書を開いた。

颯音も自分の席に座って、ノートを広げた。

でも、颯音のペンはほとんど動いていない。

俺はそれを見ないふりをした。

1時間目の算数。

先生が難しい応用問題を出した。

俺はすぐに手を挙げて、正解した。

先生が「さすが蓮くん!」と褒めてくれた。

クラスメイトが拍手する。
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